4月から開始された電力の自由化。統計によると、4月22日段階での契約変更申請は、関西電力県内で1.4%、東京電力ホールディングス圏内(旧東京電力)で1.7%だそうです。この数字を多いと見るか少ないと見るかは人によって違うと思いますが、私の個人的意見としては、「まだまだ様子見の方が多いのでは?」といったところでしょうか。とはいえ、各種メディアにて大々的に宣伝されていた電力自由化。いま一つ盛り上がりに欠けるのはどういった理由からなのでしょうか?
1:制度を正しく理解していない方が多い
そもそも、このブログを読まれている方は、
- 「電力の自由化に興味はあるけど、制度に詳しくない方」
- 「同業者、もしくは電力関係の事業関係者」
の、どちらかだと思われます。
「電力が安くなる(かもしれない)のはわかってる。でも、手続きがめんどくさそうだし万が一トラブルがあった時にどうなるか分からないし
現状で特に困ることはないからこのままでいいや~」
このような方が大多数ではないのでしょうか?
2:一人暮らしの世帯では、恩恵を受けにくい
多くの場合、各電力会社は電気をたくさん使う世帯には割引率を多めに設定しているのが現状のようで、一人暮らしをしている方にとってはかえって割高になるケースも見受けられます。
また、一人暮らし世帯によく見られる20Aの契約自体を受け付けていないケースも多く、そもそも変更するメリットが無いという方がいらっしゃいます。
3:では、一人暮らし以外の世帯はというと…
もちろん、家族が多い=使用する電力が多い ということですので、電気代が削減できる可能性は高くなります。
しかし、ここにも大きな落とし穴が。
ご存知の通り、日本は高齢化への道を着実に進んでおり、人口の減少にも歯止めがかからない状況です。そんな高齢者の方が世帯主である家庭に、「電力の自由化、いかがですか~?」と、営業をかけても、なかなか響かないのは容易に想像できます。
さらに、関東・関西以外の地方では、「そもそも選択できる事業者自体が少ない」といった事実もあります。業者が少ないという事は、競争自体も起きにくい。そもそもニーズが都市部に比べて少ないので仕方ないとは思いますが、変更したくても変更できない(する意味が無い)世帯があるのも事実のようです。
経済産業省 資源エネルギー庁のHPによると、平成28年5月23日現在、登録小売電気事業者は301社ほどあるとの事。誰もが知ってる大手企業が多々見受けられ、とりわけエネルギー業界以外の企業も多数参入している点を考えると、今後、業界の競争が激化してくることは間違いないかと思います。
今までエリア毎に独占していた電力業界に自由競争を…という政府の目論み通りになってきているわけです。
この辺りについては、また別の回に詳しくお伝えしたいと思います。
【経済産業省 資源エネルギー庁 HP】
http://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/summary/retailers_list/