阪神大震災でも猛威をふるった通電火災。今回は以前ご紹介した通電火災対策用ブレーカー、地震感知ブレーカーのご紹介記事をリライトしてお届けしたいと思います。
阪神大震災の発生からはや30年近く経過しました。
当時大阪の南の方に住んでいた私の地域は震度3とそこまで大きな地震ではなかったのですが、阪神エリアに大きな爪痕を残す大災害となりました。
そんな震災の被害を拡大させた原因の一つが、火災の発生と延焼の拡大です。
内閣府のホームページを見ると、当時の出火原因の判明した火災において、
最も多かったのは電気機器等の関連する火災であり、次いで、ガス・油等燃焼機器関係などであった。
との記載があります。
本来なら冬場でよくつかわれているであろうストーブやガスと言った可燃性の高いものが一番の原因になりそうなものですが、何故電気機器が火災の一番の要因となったのでしょうか?
このシリーズでは、近年日本が経験した大規模地震、阪神大震災・東日本大震災の教訓をもとに、「通電火災」とその対策である「地震感知式のブレーカー」についてご紹介したいと思います。
被害を拡大させた、通電火災とは
総務省のHPには、地震後の火災防止に対する注意勧告が掲載されています。
項目の1番目には、ろうそく等裸火を極力使わないという項目があります。
余震の発生する可能性や万が一火が燃え移った際の対応が困難など、容易に原因が想定できるかと思います。
そして、2番目に表示されている項目が、「通電火災」についてです
以下、総務省HPの記事を見てみましょう
- 停電中の自宅を離れる際には、ブレーカーを落としてください。
- 給電が再開されたら、電気機器が破損していないか、配線やコードが損傷していないか、燃えやすいものが近くにないかなど、十分に安全を確認してからブレーカーを戻してください。
- タイマー機能により、通電再開直後ではなく時間が経過してから電気機器が作動する場合があります。また、普段設定している時刻とは異なる時刻に作動し始める場合があります。
- 建物や電気機器に外見上の損傷がなくとも、壁内配線の損傷や電気機器内部の故障により、長時間経過した後、火災に至る場合があります。
このような記事が東日本大震災から暫くたった今公開されるのは、昨今国が災害対策に力を入れている事に関係しているのかと思います。
通電火災の原因
さて、ここで総務省の情報を少し掘り下げてみましょう。端的に言うと、「地震の時はブレーカーを落としましょう 」と言う事なのですが、なぜブレーカーを落とす必要があるのでしょうか?
少し掘り下げてみましょう。
電化製品の破損が火災に
以前自宅で妻がドライヤーを使用していた時、「ボンっ!!」という音とともにドライヤーが停止したことがあります。
原因は、ドライヤーの故障ではなくタコ足配線用のコンセントの使用量が超えていたのが原因。幸い妻にけがはなかったのですが、一歩間違えば火災の原因になりうる危険な状況だったかと思います。
地震で断線しかかったコンセント、水害で水に浸かってしまった家電等、通電していないときは大丈夫でも電力の復旧とともに火災が起こる…と言う事が実際に起こりうるのです。
避難中に停電が復旧 > 火災に
大規模災害の場合、建物の倒壊の恐れがあるため外に避難しているケースが多いかと思います。
このような状況では停電が発生しているケースが多いのですが、避難中に通電火災が発生すると家主の知らない所で炎症が広がるような事態が発生します。
家主の知らない間に起きる「通電地震」
対策としては、総務省のHPにあるように「ブレーカーを落とす」と言う事なのですが、避難をしなくてはならないような大きな災害時、はたしてブレーカーまで気が回る人がどれだけいるのでしょうか?
こういった問題を解決するため、国や自治体が設置を推進しているのが、感震式のブレーカーになります。
次回では、この感震式のブレーカーについてお話したいと思います。