再生可能エネルギーの出力制御が頻発!?どうなる九州電力

再生可能エネルギーの出力制御が頻発!?どうなる九州電力
先日も九州電力管内のお話でしたが、今日も同じく九州のお話です。

ただ、前回は電気料金の削減と嬉しい話だったのですが、今回はあまり良い話ではないんですよね・・・

 

出力制御が多発する九州地方

Yahooニュースに、以下のような記事が掲載されていましたのでご紹介します。

太陽光などの再生可能エネルギー事業者に対して、九州電力が一時的な発電停止を求めた「出力制御」の本格実施から半年が経過した。
当初は冷暖房の利用が少なく、工場も稼働しない春や秋の週末が多いと見込まれたが、3月は平日も含めて16日間に達した。
今後は東北や四国、沖縄などでも見込まれ、再エネ電力を無駄にしない仕組みづくりが求められている。
※出典:Yahoo!JAPAN ニュース
九州電力の出力制御、暖かくなり頻発 他電力でも…

再生可能エネルギーの出力制御とは

ご自宅に太陽光発電を導入されている方はご存知かとは思いますが、ここで説明させていただきますね。

電気と言うものは蓄えておく事が非常に難しいもののようで、電見自動車レベルなら現在の技術でもある程度溜めておく事が出来るのですが、電力会社が諸費するレベルの電力を安定して溜めておくというのは今の技術では不可能です。

よって、電力会社は日々自社の管内で消費されるであろう電力を予測し、必要な分だけ発電を行っています。

 

昨年の北海道電力管内で発生したブラックアウト(大規模停電)は、発電所が停止した事による電力不足が原因で発生しました。

しかし、ブラックアウトは電力の供給過多でも発生する可能性があるため、電力会社は日々発電量を調整する必要があるのです。

ここで発電量の調整役として利用されるのが太陽光発電等の再生可能エネルギーです。

 

ご存知の通り、再エネで発電された電力は地域の大手電力会社に買い取って貰っています。

この買取を抑制する事により管内の電力の安定化を図る。これが出力制限の実態です。

 

他の発電方法を停止すれば良いのでは?

ごもっともな意見ですね。特に昨今何かと問題になる原子力発電所を止めればいいんじゃない?と考える方も多いかともいます。

ここで問題になるのが発電方法の「性質」です。

 

実は「水力・原子力」といった発電方法は、一度発電を抑制すると再度同じ発電量に戻すのに時間がかかってしまいます。

各地でニュースになっている原子力発電所の再稼働についてですが、電力会社からすると発電が出来ない(していない)施設でも維持管理にかなりのコストがかかります。

経営者側の立場からすると、当然無駄なコストはかけたくありません。なので、「水力や原子力といった発電所を止める」という選択肢は取らないわけです。

 

これは「再生可能エネルギーを抑制する方がコストがかからない」と言い換える事も出来ます。

すでに稼働している原子力発電所を停止すると、安全面はさておきコストだけを考えるとかなりの費用がかかります。

当然電力会社のコストは私達消費者の価格に反映され、電気料金の値上がりに繋がります。

このような事情からも、一番コストのかからないであろう「再エネの抑制」という選択肢が取られるのだと思われます。

 

出力制御は、これからも多発する?

日射量も多く太陽光発電に適している九州地方。最近の温かい気候も相まって発電状態はすこぶる良好。

発電しすぎた電力は供給過多となり、出力制御が頻発する事態となっているようです。

 

以前の九州電力の契約では、年間30日間までは無償で出力制限を掛けることが出来ると言う形だったようです。(今現在は日数の制限はありません)

これから日照時間の増える夏場に突中し、出力制限の日数が増えるのは必至です。

私達消費者も、売電から自宅で電力を消費するスタイルへと意識を変えなくてはいけない時期に来ているのだと思われます。

九州電力圏内にて、初の再エネ出力制限が実施 その2

太陽光発電の住宅

太陽光発電の住宅

前回は、そもそも再エネ出力制限とは何なのか?制限しないとどのような問題が起こるのか?

というご説明をさせていただきました。

前回の記事をまだ読まれていない方は、こちらからお読みになられてくださいね。
九州電力圏内にて、初の再エネ出力制限が実施 その1

 

実はこの記事をあげた直後、九州電力は13日に再エネの出力制限実施の可能性を示唆し、実際に13日には制限がなされてしまいました。

 

九州電力 13日に再エネ出力制限を実施

九州電力は10月13日、太陽光発電の出力制御(出力抑制)を実施した。

離島を除くと、国内初。いずれは不可避と言われてきた出力抑制が、ついに現実のものとなった。

実施の前々日に当たる10月11日夕刻、九電は「13日に出力制御の可能性あり」と発表。

前日12日の17時頃に実施を決め、制御対象となる太陽光発電事業者に通知した。

※出典:日経ビジネスON LINE
九電が国内初の太陽光出力制御、回避の道は?

 

結局九州電力は13日・14日の2日間出力制限を実施。来週の週末も実施する可能性を残しました。

今回の出力制御の対象は太陽光発電事業者の9759件で、一般家庭は対象外となりました。

地域は九州電力管内の福岡、佐賀、長崎、大分が大多数を占め、一部鹿児島・宮崎も制限対象となりました。

 

再エネ出力制限は何故実施されたのか?

簡単に説明すると、今回の制限は九州電力圏内で発電している電力が需要を大きく上回る可能性があり

「発電され過ぎなので、太陽光発電は少し発電を抑えて下さいね」

と言うことです。

 

先日もお伝えしましたが、電気は溜めておくことが出来ず、必要な分だけ発電、送電する事が求められます。

これらのバランスが崩れた場合、先日の北海道胆振東部地震の時のように、道内全域が停電すると言うブラックアウトが発生する可能性があるのです。

 

元々九州は日照時間が長く太陽光発電には向く地域であるため、太陽光発電の導入が進んでいるエリアになります。

つまり、他のエリアに比べて発電量が多いと言うこと。

春や秋になると空調機器による電力消費が落ちるため、九州電力管内の消費電力は減少します。

このような事情により、だいぶ気温も下がってきた10月の末に出力制限が実施される事となったのです。

 

出力制限は回避できなかったのか?

九州電力も様々な手を尽くし出力制限を回避すべく頑張っていました。

 

1:火力、水力発電所を停止

2:他の電力会社(中国・四国電力)へ電気を送電

3:揚水運転による再エネの余剰電力の吸収

 

3については聞きなれない言葉があるかと思うので簡単に説明すると、先程もお伝えした通り電気は溜めておくことが出来ません。

ですので水力発電所で使用する水を電気機器を使ってくみ上げ備蓄しておくことで、後々発電に使う水を溜めておこうと言う考え方です。

九種電力管内では原子力発電所も何基か稼働しておりますが、こちらについては停止・再稼働が非常に面倒なため今回の対策には対象外となっています。

もちろん、これで完璧だったのか?と聞かれると正直YESとは言えないのですが、これらの対策をしてもなお電力が余ると言う事態に陥ったわけです。

日々の電気料金は上がり続けているにも関わらず…です。

 

当面の所、関西には影響が無さそうな出力制限ではありますが、しばらくは動向を注視しておきたいと思います。

九州電力圏内にて、初の再エネ出力制限が実施 その1

九州電力圏内にて、初の再エネ出力制限が実施

電気料金速報では毎月の値上げをお伝えしていますが、一方で電気料金にも影響しかねない少し気になるニュースが入ってきたのでご紹介しようと思います。

 

タイトルを見ると、「九州電力圏内にて、初の再エネ出力制限が実施」

「再エネ出力制限!?」何それ!?

と言う人がほとんどかと思いますので先に解りやすくご説明すると…

 

再生可能エネルギー(太陽光や風力発電など)を大手電力会社(今回は九州電力)に販売している企業に対し、九州電力側が再生可能エネルギーの発電を抑えてくれませんかとお願いしている…

 

という話です。

 

九州電力は10日、太陽光や風力発電などの再生可能エネルギー事業者に対し、発電を一時停止する「出力制御」を要請する方針を表明した。

大規模停電の原因になり得る過剰な発電を抑制し、電力需給のバランスを維持するのが目的。離島での実施例はあるが、広域での太陽光発電などの停止要請は国内初となる。

※出典:時事通信社
太陽光発電、初の一時停止へ=供給過多による大規模停電防止-九電へ

そもそも、何故九州電力は自然に優しい再生可能エネルギーの受け入れを停止しなくてはらなないのでしょうか?

一番の原因は、まだ記憶に新しい平成30年北海道胆振東部地震において発生した「ブラックアウト」です。

 

ブラックアウトとは

一時期テレビ等でかなり報道されていましたのでご存知の方もいらっしゃるかとは思いますがおさらいの意味も込めて簡単にご説明しますね。

「平成30年北海道胆振東部地震」では、地震発生後北海道電力管内の全ての地域で停電が発生すると言う事態が発生しました。

これは現状の大手電力会社が運営する形となってからは初めての事で、東日本大震災発生時、福島第一原発の事故が発生した時でさえ発生しなかった大規模停電が北海道で発生した事になります。

 

ブラックアウトは何故発生する?

大前提として、「電気は溜めておくことが出来ない」エネルギーです。

蓄電池や自動車のバッテリーを思い浮かべると不思議なような気もしますが、大手電力会社では管内の毎月の電力使用量を予測し必要な分だけ電力を発電・供給しています。

 

細かい経緯は省略しますが、北海道胆振東部地震では道内の生産能力の4割超を占める苫東厚真火力発電所が停止。

このため電力供給が不安定となり、道内全域を巻き込んだ大規模停電が発生しました。

 

電気には「周波数」と言うものがあり、電力の需要と供給が安定している時は問題ないのですが、どちらかが過多になった場合周波数の値が大きく変動します。

周波数が乱れると発電所の機器に様々な悪影響を与える可能性があるため、発電所は周波数の乱れを感知した場合運転を停止します。

こうする事により発電所の被害を最小限に抑えることがき、停電も比較的短時間で抑えることが可能なわけです。

しかし、道内随一の発電量である苫東厚真火力発電所の停止は、結果として他の発電所に負荷がかかり、連鎖的に停電を拡散させる結果となってしまいました。

 

一言でいえば、

「電気は必要な分をその都度生産・供給しないと停電する可能性がある」

と言うことですね。

 

勘のいい人はここで気づかれた方がいらっしゃるとは思いますが…

「電気の発電量が多すぎても周波数が乱れ、大規模停電が発生する可能性がある」

とも言えるのです。

 

なので今回の九州電力の発表は、

「管内の発電量が電力需要を上回りそうだから下手すれば大規模停電が起きるかも。なので、ちょっと再生可能エネルギーを作るの抑えてくれませんか?」

というお願いなのです。

少し長くなりましたので続きは次回に。
次回は出力制限についてもう少し具体的な所を掘り下げて見たいと思います。

電気代が大幅値下げ!?再生可能エネルギーの世界事情 その2

【電気料金削減】電気料金が大幅値下げに!?再生可能エネルギーの世界事情

再生可能エネルギーの普及により、将来電気代が大幅に安くなる…かもしれない報道についてお伝えしている本記事の第二弾。

今回は、SBエナジー社長が報道番組内で語った「電気の価格は限りなくタダに近づくと思います」という発言について、その理由をお話したいと思います。

前回の記事をお読みだない方は、まずこちらをお読みください。

電気代が大幅値下げ!?再生可能エネルギーの世界事情 その1

 

他国より割高な、国内の再生可能エネルギー事情

すでにご自宅で太陽光発電を導入されている方やきちんと電気料金の明細を確認している方はご存知かと思いますが、日本国内における再生可能エネルギーの発電コストは決して安くはありません。

例えば関西電力の場合、平成29年度の太陽光発電における1kWhあたりの買取金額は、条件にもよりますが22.68円~30円になります。10kW以上2,000kW未満は一律22.68円になります。

仮に1月あたりの平均発電量を500kWhとすると、一般家庭の場合はほぼ22.68円/kWhと言っても差し障りは無いでしょう。

※出典:関西電力 買取単価および買取期間

 

厳密な話をすればキリが無いのですが、電力会社からすればこの22.68円がおおよその発電コストと言う事になります。

さて、これらを踏まえたうえで、前回もお伝えした世界の再生可能エネルギーの発電コストを見て見ましょう。

国名 エネルギー名 発電コスト(1kWh)
日本 風力 21円
太陽光 21円
石炭火力 12円
原子力 10円~
モンゴル 風力 4.0円
アラブ首長国連邦 太陽光(建設中) 2.6円(予定)
アメリカ 風力 5.1円
チリ 太陽光 3.1円
オーストラリア 風力 4.4~7.7円
ドイツ 太陽光 10.5円
デンマーク 風力 6.0円
南アフリカ 風力 5.5円

※自然エネルギー財団 ゲヴォルグ・サルクジアン世界銀行等の情報より

ご自宅で太陽光発電を導入されている方からすれば、ありえない数字ですね(笑)

 

なぜ発電コストが高いのか?

太陽光発電にの発電コストにおいて、建設予定レベルではありますがアラブ首長国連邦と日本では実に10倍ほどの差があります。

これには様々な理由があり、1個1個掘り下げていくとかなりのボリュームになるので主な要因を上げて見ると

 

  • 太陽光パネルなど機器の単価が日本は高い
  • 発電施設の建設費(人件費等)が日本は高い
  • 日本と海外での税制面の違い
  • 国策として大量の補助金が出ている国があり、設置する企業としても動きやすい
  • 日照時間の違いによる発電効率の違い

 

といった項目があります。

単純に、アラブより日本の方が「太陽光発電をするには向いていない国」と言う事なんですね。

さらに毎月私達の電気代に加算されている再生可能エネルギー発電促進賦課金は、その名の通りコストの高い再生可能エネルギーを電力会社が企業や一般家庭から買い取る資金に充てられます。

逆に言えば、このような仕組みが無ければ国内の電力会社は再生可能エネルギーを販売することが難しいと言う事になります。

 

どうすれば国内の再生可能エネルギーは安くなる?

ソフトバンクグループのSBエナジーがモンゴルのゴビ砂漠に建設していた風力発電所が、つい先日完成したようです。

この発電所は当面モンゴル国内の電力の供給に使われるのですが、2020年には日本まで電力を持ってこようと言う計画が動いているとのこと。

これは、ソフトバンクの孫社長が提唱した、「アジアスーパーグリッド」と言う構想の一部になります。

 

アジアスーパーグリッドとは?

北はロシア南部・西はサウジアラビア・南はシンガポールとアジア全域を送電網で結ぶ事により天候に左右されやすく安定供給が難しい再生可能エネルギーの永久供給を可能にする…というとんでもないプロジェクトです。

 

仮に日本で風が吹かず、太陽が雲で覆われていたとしてもアジアのどこかでは快晴で、風が強い地域もあるでしょう。

例えばゴビ砂漠には強烈な偏西風が吹き荒れています。今回SBエナジーはその偏西風に目を付けゴビ砂漠に巨大な浮力発電施設を建設しました。

日本国内での風力発電のコストは21円/kWh。今回のモンゴルでは4円/kWh。同じ施設を日本に建てた場合の発電コストと比較すると約1/4。

確かにこれだけ安い電力を日本国内に送電できるのなら、私達の電気代が安くなるかもしれませんね。

 

問題点は?

映像では、送電網における技術でいな所は可能であるとの報道内容でした。

しかし、実際にこの構想を実現するには問題もあります。

 

電気を他国に突然止められるリスク

例えば今回のゴビ砂漠で発電した電力を日本に送電する場合、ロシア経由で送電網を這わすか、中国>海底ケーブル経由で韓国と経由し日本に送電する2つのパターンが考えられます。

モンゴル国内で安定して発電できたとしても、送電網がある国と何かトラブルが発生した場合、電力供給が滞る可能性があります。

また、日本と該当国との問題ではなく、該当国の様々な事情(テロやストライキ・事故や天災等)によって送電が止まってしまう可能性は否定できません。

 

海外から電力を送電するための法整備が必要

そもそもこういった海外諸国との事業は何かと法整備が付き物です。日本に関しては他国とこのような協定を結んだ事が無く、これから法整備を整えていくような形になります。

原発再稼働が前提な日本の発電事情において、現在日本国内の発電電力における再生可能エネルギーの比率は6%。(ちなみに原発は0.9%)

2015年のデータではありますが、このような状況の日本が積極的に法整備を進めていくとはあまり考えにくいように思えます。

 

今後の展望は?

ゴビ砂漠では、将来的に原発13基分という途方もない量の発電計画が立てられています。

そんななか去年、中国・韓国・ロシアの政府系電力会社3社とこの構想を推進することで合意したそうです。

孫社長が目を付けた再背可能エネルギーのビジネス。今後世界中で様々な技術革新が進んでいくのは間違いなさそうです。

 

今日明日にすぐ電気代が安くなると言う事は無いでしょうが、10年・20年後にはもしかしたら今より大幅に電気代が下がっているかも…なんて事もあるかもしれませんね。

電気代が大幅値下げ!?再生可能エネルギーの世界事情 その1

【電気料金削減】電気料金が大幅値下げに!?再生可能エネルギーの世界事情

先日、夜に報道番組(報道ステーション)を眺めていた時の事です。電力関係の仕事をしている自分としてはビックリするようなニュースが流れてきました。

そのニュースの冒頭を要約すると…

 

「価格が下がり続けている海外の再生可能エネルギーを、国内に送電しようというプロジェクトがある」

 

いやいや、そんなの採算取れるんですか!?そもそも価格が安いって、一体どれくらいの価格なの!?

頭の中に多くの「?」が浮かびました。

 

そのまま報道番組を眺めていましたが、実現できるかどうかはさておき構想自体は非常に面白く、私自身色々と勉強になる事もありました。

もちろん、今日明日と言う事でありませんが、近い将来電気代が大幅に下がる時代が来るかもしれないようです。

 

今回は報道ステーションで放送された、「再生エネルギー革命~日本の挑戦」と言う特修をご紹介したいと思います。

 

再生可能エネルギーとは

このお話をする前に、そもそも再生可能エネルギーとは何かを知らない事には話が始まりません。

よって、まずは再生可能エネルギーについて、簡単に説明したいと思います。

 

再生可能エネルギーとは、石油や石炭・天然ガスと言ったいつか枯渇するエネルギーと違い、自然界に存在する「枯渇しないエネルギー」の事をさします。

ポイントとしては、「枯渇せず永続的に利用できる事」「地球上のどこにでも存在すること」「二酸化炭素を排出しない(増加させない)こと」といった3点。

具体例を上げると

 

●太陽光
●風力
●水力
●地熱
●太陽熱
●大気中の熱その他の自然界に存在する熱
●バイオマス(動植物由来のもの)

 

この7種類が施行令によって定められています。

近年日本でも、太陽光発電については各地でソーラーパネルの設置が進んでおり、「田舎の山間に大きなソーラーパネルが!?」なんて光景もよく目にするようになりました。

石油等に代わる次世代のエネルギーとして政府は導入・普及推進しているそうです。(その割にはあまり普及しているようには見えませんが)

 

アジアの再生可能エネルギーが今すごい!?、

ソフトバンクの子会社であるSBエナジーは、2017年10月6日、モンゴルのゴビ砂漠に建設中だった風力発電所が完成し、営業運転を開始したという報道がありました。

モンゴルの企業と共同出資で設立した会社が運営を行い、モンゴル国内向けに送電を開始。モンゴルの電力消費量の約5%を賄える量になるようです。

 

この報道から3日後、テレビ朝日の報道ステーションという番組で、とても興味深い特集が流れました。

「再生可能エネルギーへの挑戦」と題し、ソフトバンクグループのSBエナジーが再生可能エネルギーについてどのようなビジネス構想を持ち動いているのかと言う特集でした。

その中で驚いたのが、SBエナジー社長の発言。

 

「電気の価格は限りなくタダに近づくと思います」

 

いやいやいや、それは無いだろう!?とは思いましたが。

ただ、日本の電気料金の価格は下がるだろうと明言してもいました。

一体どういう理由で電気料金が安くなると言えるのでしょうか?

※テレビ朝日 報道ステーションの公式HPにて実際の映像が視聴できます。恐らく一定期間たつと削除されると思いますので、視聴はお早めに。

日本では、太陽光や風力の再生可能エネルギーは、高いとされているが、今世界では、驚異的な価格の低下が進んでいる。これまでの不安定で弱いエネルギーではなく、低コストで強いエネルギーという位置付けだ。モンゴル南部に広がる広大なゴビ砂漠で生み出された安い再生可能エネルギーを、各国の送電網と海底ケーブルでつなぎ、日本にまで持ってくる壮大な構想が動き始めた。

※出典:テレビ朝日 報道ステーション 再生エネルギー革命~日本の挑戦

 

そもそも国内の再生可能エネルギーは高すぎる!?

放送の中で、世界の再生可能エネルギーの生産コストが日本国内と比較しいかに安いかと言う事を伝えています。

以下、1kwhあたりの生産コストを比較してみると

国名 エネルギー名 発電コスト(1kWh)
日本 風力 21円
太陽光 21円
石炭火力 12円
原子力 10円~
モンゴル 風力 4.0円
アラブ首長国連邦 太陽光(建設中) 2.6円(予定)
アメリカ 風力 5.1円
チリ 太陽光 3.1円
オーストラリア 風力 4.4~7.7円
ドイツ 太陽光 10.5円
デンマーク 風力 6.0円
南アフリカ 風力 5.5円

※自然エネルギー財団 ゲヴォルグ・サルクジアン世界銀行等の情報より

 

こちろんこの値は単純な「生産コスト」であり、施設の建設費や国・自治体に支払う税金等、様々なコストが省かれていますし、どこまでがコストとして含まれているのかもわかりません。

地域的な影響ももちろんあります。年間の日照時間や風力などは地域によって大きく差が出ます。例えば東京に比べ年間の日照時間が20%も少ないロンドンと3年間日照りが続いたと言われるゴビ砂漠では発電量に雲泥の差が出るでしょう。

国により政策や補助金、税制の違いもありますし、そもそもエンドユーザーへの販売価格ですらないのですが、一つの指標として比較するには十分な数値ではないでしょうか?

しかし建設中とはいえアラブ首長国連邦発電コストが2.6円。政府の支援を受けて日本企業が落札した事業だそうですが、最終的には原発1基分の発電量を賄える事になるのだとか。

ちなみに大阪の現在の電気代はプランにもよりますが1kWhあたり約19円~30円ほど。仮に日本で同じコストで発電できるとするなら、いったいどれだけ電気代が安くなるんでしょうね?(笑)

 

さて、ここまでは海外の再生可能エネルギーの価格についてお話してきました。

次回は「なぜSBエナジー社長が日本の電気代は安くなると言ったのか?」についてお話したいと思います。

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