先日、弊社のある大阪の電力会社である電力会社が、7月分の「燃料費調整」として、1kwhあたり約3円の値下げになるとの発表がありました。たまにテレビやラジオなどのメディアで放送されてたりするのですが、よほどの値上げ(もしくは値下げ)や夏場の電力制限等が無い限り、あまりメディアで取り上げられることも少ないなと感じます。
実際、毎月支払う電気料金も、「今月は熱い日が多くエアコンをよく使ったから電気代が高くなったな」といった程度で、あまり細かいことは気にせず、自分の契約されている料金プランすらご存じでない方が多いのではないでしょうか?
今回は、関西電力圏内でのお話にはなってしまいますが、電力会社の電気料金について、少し掘り下げてお話したいと思います。
燃料費調整と電気料金の改定
冒頭にお話ししている「燃料費調整」ですが、結論から言うと、契約プランにもよりますが、今回2016年7月分の電気料金は「値下げ」になります。
昨年にもありましたが、主に一般家庭向けの電気料金が値上げになるというニュースが各メディアを賑わすことがあります。1消費者にとっては、勘弁してほしいニュースなのですがね…
個人的な感想はさておき、理由については原油価格・液化天然ガス(LNG)の価格上昇等火力発電における燃料コスト増の問題、原発の維持・管理費等様々な要因が考えられます。
電気料金には様々なプランがあり、その価格は細かく策定されているのですが、仮に電力会社が電気料金の値上げを行う場合、かなり手間のかかるプロセスを踏まなくてはなりません。具体的には、経済産業省への申請、該当エリア内のお客様への公聴会等があり、電力会社としてもあまり頻繁に価格改正を行いにくい制度となっております。
ただ、火力発電にて必要となる原油等の価格は日々変化しており、短期的にある程度の価格変動があった場合、正規の手続きを踏んで電気料金の改定を行うことに無理があるケースが発生します。
※実際、LNG(液化天然ガス)の場合、2015年1月の国内での価格が「15.50USD/100万BTU」、2016年1月で「8.46USD/100万BTU」と約倍の価格変動がおこっています。
燃料費調整制度
上記のような理由から、各電力会社では「燃料費調整制度」といって、原油・LNG(液化天然ガス)・石炭といった火力発電向けの燃料コストを迅速に電気料金に反映させる制度があります。
例えば7月の電気料金の場合、2月~4月の各種燃料の価格を元に平均燃料価格を算定。その値をもとに該当月の電気料金にコスト上昇分を加算(もしくは減算)し電気料金を決定します。
区 分 | 基準単価 | 燃 料 費 調 整 単 価 | 平成28年6月分 との単価差 |
||
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平成28年 7月分 |
平成28年 6月分 |
||||
従量電灯Aの場合 | 最初の15kWhまで | 3.159 | -56.86 | -52.76 | -4.10 |
15kWhをこえる 1kWhにつき |
0.211 | -3.80 | -3.52 | -0.28 | |
低圧供給の場合 (従量電灯Aなどを除く) |
1kWhにつき | 0.211 | -3.80 | -3.52 | -0.28 |
関西電力HPより
【関西電力 燃料費調整制度について】
https://kepco.jp/ryokin/seido
最近、原油価格が若干ではありますが持ち直し、ジワリジワリと価格の上昇が続いています。これは車に乗られる方ならガソリンスタンドのガソリン代で実感しているかもしれませんね。世界経済減速の要因の一つとなっている原油安ですが、このまま少しづつではありますが上昇していくであろうと多くのアナリストが予想しています。
あまり考えたくはないですが、来年の今頃には「燃料費調整制度」ではなく、「正式な手続きでの電気料金の改定」が行われているかもしれませんね。