先月の28日、大阪高裁が関西電力の不服申立を認め、高浜原子力発電所3号機・4号機の再稼働を認める判決を出しました。
この決定に伴い、住民側が抗告を断念。大阪高裁決定が確定しました。
関西電力は、高浜原子力発電所3号機・4号機の再稼働の準備に向け準備を進めています。
本稿では原発の稼働の是非はさておき、実際に原発が稼働した場合の電気料金について、現状分かっている情報をお伝えしたいと思います。
新電力事業を踏まえた関西電力の実情
ちょうど1年前に始まった電力自由化。関西電力にしてみればほぼ独占状態だった関西の電力事業の顧客が流出するわけですから、たまったもんではありませんでした。
関西電力も顧客の流出を食い止めるため様々な料金プランやサービスを打ち出しはしましたが、大手石油会社のガソリン代のセット値引きや通信授業社のセット割、はたまたポイントでの還元など、多様なサービスを提供する新規参入事業者に対し、どこまで有効な対策ができたのかというと首を傾げるところ。
実際に減収が続いている関西電力は、ある意味新電力で苦戦しているといっても過言ではないでしょう。
そのような厳しい状況の中、お荷物になっていたのが稼働できていない高浜原発。
関西電力としては、一刻も早く営業を開始し生産性を向上させたいと考えていました。
なので、今回の判決は関西電力にとっては非常にありがたい判決であったと言えるでしょう。
原発稼働で、電気代はどうなる?
結論を先に言うと、「原発が稼働すると電気代が安くなる」可能性が高いです。
先日の日本経済新聞社の記事に、以下のようなものがありました。
関西電力は28日、大阪高裁が同日に高浜原子力発電所3、4号機(福井県高浜町)の再稼働を認める決定をしたことを受け、再稼働に向けた作業に着手する。原発の営業運転開始後には電気料金を下げる方針だ。一方で大阪ガスも電気とガスのセット契約で対抗値下げを検討。今年4月からの家庭向けの都市ガス小売り自由化で関西の料金競争は一段と激しくなりそうだ。
※出典:日本経済新聞社 関電、電気料金引き下げへ 高浜原発の再稼働後 大ガスも対抗検討
上記記事にもあるように、今月から始まったガスの自由化を受け関西電力は攻勢を強めています。
大阪ガスも対抗策を打ち出す方針を示しており、全国的にはあまり話題に上がらないガスの自由化ですが、関西にいたってはガス自由化の競争は今後も激しくなりそうです。
ちなみに関西電力は、高浜原発を5月中にも再稼働する方針を打ち出しています。
先日の関西電力の入社式でも、岩根社長は原発稼働後は速やかに値下げを行うと述べられており、稼働さえすれば関西電力圏内の電気代は値下げされると踏んで間違いないでしょう。
本当に原発は営業稼働できるのか?
実は2年前の4月、高浜発電所の3号機と4号機について福井地方裁判所が関西電力に再稼働を認めない仮処分の決定を出しています。
これは2011年・12年に定期点検のため運転を停止した3号機と4号機に対し、住民より再稼働の差し止めを求める仮処分申請が出されたためです。
後に原子力規制委員会や裁判所等多方面の機関の紆余曲折もありましたが、2017年4月現在、再稼働する方針で事は進んでいます。
しかし、今年の1月20日には2号機設備内のクレーンが転倒する事故が起きたり何かと話題に上がっている高浜原発。
実際に5月に稼働できるかどうかは、個人的な見解ではあやしのかもしれませんね。
当ブログでも、関西電力より新たな発表があればご報告していきたいと思います。