電気料金プランを知ろう!! その1:従量電灯とは?

電気料金プランを知ろう!! その1:従量電灯とは?

電力自由化がはじまってから数年になりますが、最近ではあまりTVCMも見ないようになってきましたね。

以前は比較的多様な業種(というか、通信事業者が多かったような…)のCMを見たんですけどねぇ…

 

経済産業省の認可法人の電力広域的運営推進機関は11日、家庭向けの電力小売りが自由化された4月から10月末までの7カ月で電力大手から209万100件の契約が新電力などに移ったと発表した。

 

まだ契約総数の3.3%だ。新電力の料金体系が大手と似ているなどメリットを感じにくいことが背景とみられる。

※出典:日本経済新聞 電力切り替え、自由化7カ月で200万件突破

 

少し前の記事ですが、契約総数の3.3%という数字は、大手電力会社10社にしてみたらほっと一安心といったところでしょうか?

しかし、実際に新電力に乗り換えることはメリットも多々あるのが事実。上記日経新聞の記事にもありますが

「新電力の料金体系が大手と似ているなどメリットを感じにくいこと」

が、原因かと思います。

 

そもそも、ご自分が今契約されている電力プランを正確に把握している人が少ないんですから、当然と言えば当然なんですがね。

そこで今回は、大手電力会社にある標準的な電力プラン、「従量電灯」についてご説明。新電力を検討される場合の1つの判断基準として、ご活用いただければお思います。

 

そもそも、従量電灯って?

毎月ご自宅のポストに入っているであろう検針票。良く見てみると、「従量電灯A」とか「従量電灯B」なんて言葉が書かれていませんか?

簡単に説明すると「従量」とは電気を使用した分だけ電気代を払ってくださいね~という意味です。

しかし、関西電力だと従量電灯A・従量電灯Bの2種類が。

中部電力にいたってはA~Cまでの3種類があります。

もちろん、プランによって電気料金が違うという話になるのですが、今回は関西電力が提供する一般家庭向けの電力プラン、「従量電灯A」(東京電力エナジーパートナーでは従量電灯B)についてご説明したいと思います。

 

関西電力の従量電灯Aとは?

わが家でも契約している従量電灯Aですが、大きなポイントは以下の通り。
ちなみに他の電力会社でも同じような料金体系が用意されています。

 

電気を利用しなくても支払う最低料金が設定されている

関西電力の従量電灯Aの場合、1wも電力を使わなくても最低料金である「373.73円」が請求されます。

 

従量部分は3段階

関西電力の場合、

・15kWh超過120kWhまで
・120kWh超過300kWhまで
・300kWh以上

に分かれており、消費電力が上がるたびに1kwh当たりの電気代が高くなります。

 

多量の電気を使用する場合は別プランを!!

関西電力によると、

800kWhをこえる場合は、従量電灯Aより従量電灯Bがお安くなることがあります。

とのこと。

参考程度に言うと、電力需要の増える1月。前年度のわが家の電気消費量は423kwh。仮に今月の電気消費用が同じだった場合の電気代は11,417円になります。

わが家は2階建ての戸建て。専業主婦の妻に子供(赤ちゃん)が一人、猫1匹といった家庭です。

最近は子供が小さいのもありあまり外出しませんが、外出時は猫のために何らかの暖房機器はつけっ放しにするといった状況です。

ここから想定すると、800kwhという電力がどれくらいのものなのか、想像できるのではないかと思います。

 

関西電力の従量電灯A 電気料金表

ちなみに我が家の過去の電気料金を見てみると…

単位 料金単価(税込)
最低料金(最初の15kWhまで) 1契約 373.73円
電力量料金 15kWh超過120kWhまで 第1段階 1kWh 22.83円
120kWh超過300kWhまで 第2段階 29.26円
300kWh超過分 第3段階 33.32円

※関西電力HP 従量電灯A
https://kepco.jp/ryokin/menu/dento_a

 

実際にはここに燃料費調整額やら再生可能エネルギー発電促進賦課金やらを加味した金額が請求されます。

ワンルームマンションとかだと違ったりもしますが、かなりの世帯がこのパターンの従量電灯をご契約されているかと思います。

新電力への変更を検討される際には、ご自宅の検針票とともにこのあたりの情報もきっちりと抑えてから検討されてくださいね。

まだまだ続く!?関西電力・大阪ガスの価格競争

まだまだ続く!?関西電力・大阪ガスの価格競争
予想はしていましたが、やはり素早い対応でしたね~

先日関西電力が大浜原発の稼働に伴い電気料金を値下げすると言う情報をお伝えしましたが、発表から1月きもたたないうちに大阪ガスが反撃。

大阪ガスは、7月より自社で提供する電力自由化の料金を値下げすると発表しました。

●大浜原発稼働による関西電力の値下げ記事はこちら

関西電力、原発稼働により大幅値下げへ

 

大阪ガス、関西電力に対抗し値下げへ

以下、メディアからの情報です

大阪ガスは5日、7月1日から電気料金を値下げすると発表した。

4人家族をモデルとしたケース(月間使用量370キロワット時)では4.6%の値下げとなり、使用量が多い家庭ほど割安になるよう設計した。

関西電力が大飯原発3、4号機の再稼働によって7月から家庭向け中心の規制分野で4.03%値下げするのに対抗した。

※出典:毎日新聞
大阪ガス 7月から電気料金値下げ 4.6% 関電に対抗

あれ、先月NHKの情報だと、関西電力の値下げは一般的な世帯で約5.36%の値下げだったと思うんですけど…

正直この辺りは情報を出す側が有利になるように計算しているかと思うので細かい数値はあまりあてにならない事が多いのですが。

ただ、大阪ガスの発表としては、「7月からの電気料金の値下げは、関西電力より大阪ガスの方が値下げしますよ。」と言いたいようです。

実際問題、大阪ガスは関西電力が値下げを発表する前までは電気料金の優位性を確保していましたが、大浜原発がらみの値下げで立場は逆転。

このままではまずい…と言うのが大阪ガス経営陣の判断なんでしょうね。

 

関西電力・大阪ガスの価格抗争の歴史

対象年度 関西電力 大阪ガス
平成28年4月1日 電力自由化で大阪ガスが参入
平成28年12月27日 大阪ガスより安い料金プランを発表
平成29年1月5日 関西電力より安いプランを発表
平成29年1月12日 料金プランの改正で値下げへ
平成29年4月1日 ガス自由化に関西電力が参入
平成29年度7月6日 高浜原発稼働で電気料金値下げを発表
平成29年度7月14日 電気料金の値下げを発表
平成30年度5月28日 大飯原発稼働で電気料金値下げを発表
平成30年度5月31日 電気料金の値下げを発表

これを見ると、関西電力のプランに大阪ガスが対抗しているって気もしますね。

しかし、制度上しょうがなかったとは言え、関西電力は電量自由化のおかげで大阪ガスにかなりの顧客を奪われてはいるのですが。

ちなみに東京電力関連会社である東京電力エナジーパートナーも関西電力圏内の電気料金を値下げする方向で検討に入ったとのこと。

消費者にとってはありがたい限りですが、関西電力自体は難しい舵取りが続きそうですね。

新電力事業者はなぜ電気代を安く提供できるの?

新電力事業者はなぜ電気代を安く提供できるの?

電力自由化も、制度が開始してから1年以上が経過しました。

以前のように毎日様々な新電力事業者がテレビCMを流しているようなことは少なくなってきたように思います。(少なくとも大阪ではですが)

ところで皆さんは、新電力事業者に契約を替えると電気代が安くなる(※電気の利用量等、条件によっては安くならないこともあります)という事はご存知かと思いますが、なぜ安くなるのか疑問に思ったことはありませんか?

普通に考えると、いくら新電力に加入している企業が他業種で有名な大企業だとしても、すでに何十年も電力事業を営んできた大手10社のほうが電気代を安くできそうなものなのですが…

今回はこの辺りのカラクリをお話したいと思います。

 

そもそも、大手電力会社の電気代は高かった!?

元々国内の電力事業は東京電力や関西電力といった大手10社がエリア毎に市場を独占していました。

電力会社も企業である以上利益を追求します。100円で売れるとわかっているものを理由もなく値下げする企業はありませんよね?僕が社長だとしても、わざわざ値下げしろなんて話はしないでしょう。

しかも同じエリア内にはライバルとなる企業がいません。そりゃ企業努力もなおざりになっていたんだと思います。

 

大手だからこそ必要な設備投資費

鉄塔電気代には、単純に電気を生産する費用(燃料代など)以外にも様々な費用が上乗せされています。

例えば大手電力会社の場合、発電所や変電所だけでなく、各契約者のもとへ電力を届ける送電線網も所持しています。これらの設備を維持していくには、莫大な費用がかかります。

落雷等で一部地域に停電が発生した場合、大至急停電から復旧するための人員の確保。しかも24時間体制で…です。

これらの人件費やら設備管理費等、毎月にかかる経費がきっちり利用者の電気代に反映されているわけですね。

一方、新電力企業は送電線網を大手電力会社より借りて営業しています。もちろん使用料は支払わなくてはならないのですが、維持管理に必要な費用やそもそも自社で送電線網を準備するコストを考えると利用者に上乗せする費用は大手電力会社と比較し少なくなる…という事なのです。

 

電気料金以外の本業とのセット割

電気代のイメージ例えば当ブログ記事でも度々紹介している関西電力と大阪ガスの新電力プランについてですが、どちらも電気(もしくはガス)のみを契約するより、同じ企業でまとめて契約することにより電気・ガス共に利用料金がお安くなる…という仕組みです。

1世帯当たりの売上(利益)が上がるわけですから、企業としては値下げしやすいというわけですね。これは非常に分かりやすい仕組みです。

他にも通信事業社のプランでは携帯電話やインターネットと新電力をまとめて契約することにより、ポイントのキャッシュバック率が上昇、結果グロスで考えるとお安くなる…といったプランがあります。

 

もちろん、電気代を削減するためだけに携帯電話をキャリア変更するのは抵抗があるかと思いますが、今何かしらの支払いや契約がある企業が新電力事業者として営業している場合は、一度プランを調べてみるのも良いかもしれませんね。

高浜3号機再稼働 関西電力の電気代はどうなる?

ガスタンク

高浜3号機再稼働 関西電力の電気代はどうなる?

電力自由化については、当ブログでも長い間色々な記事をお伝えしてきましたが、もしかすると、今後関西電力エリアについては新たな動きがあるかもしれません。

タイトルにも記載している通り、先日の6月6日、関西電力の高浜3号機が再稼働を開始しました。

高浜原発3号機(福井県)が6日再稼働したことで、関西電力の発電電力量に占める原発比率は拡大に向かう。

東日本大震災前に4割を超えていた原発比率は、震災後の安全基準の強化などに伴う全面停止で、一時はゼロになったが、今年度は1割を超える見通し。

原発を主軸に据えた電力供給に回帰している。
※出典:産経WEST 高浜3号機再稼働、関電が原発比率拡大へ…石油火力は休止

 

関西電力の原発依存度は高い!?

原発依存度のイメージ実は東日本大震災前の平成22年時関西電力は11基の原発を稼働し、年間の発電量における約44%を原発でまかなっていました。

この値は東京電力など他の大手電力会社と比較しても高い数字になります。

ところが震災後様々な利用により原発は稼働を停止。平成26年と28年には稼働する原発が0となり、発電コストの高い石油火力発電所に頼らざるを得ない状況が続いています。

ちなみに石油火力発電所は原子力発電と比べて発電コストが3~4倍ほど高いそうです。そりゃ、電気代を値上げしなきゃ関西電力としてはまずい…というわけなのです。

実際問題、他の大手電力会社と比べ、関西電力の電気料金は割高になっています。

 

電気代の値下げの時期と金額は?

高浜3号機は7日午前2時半ごろ臨界に達する見込みで、営業運転開始後の7月上旬以降に電気料金の値下げを実施したいとのこと。

もちろんこれは順調にいけばと言う話なのでしょうが、電力自由化による顧客流出の懸念が大きく、早めに値下げを打ち出すことによりこれ以上の流出を防意図がありそうです。

 

現に電力自由化開始以降、関西電力より約70万件の顧客が新電力事業者へと流出。ちなみにこのうち約30万件は大阪ガスに奪われたそうです。

さらに今年よりはじまったガスの自由化により関西電力は大阪ガスより14万件の顧客を獲得。今後の価格設定次第ではさらに顧客を奪う可能性があり、大阪ガスとしては今回の原発稼働は脅威と感じている事でしょう。

 

ちなみに肝心の下げ幅ですが、「3%を軸に検討する」との事。

関西電力の本年5月における標準家庭での電気料金は6836円/月。

3%ということは…「205円」ですね。

 

ご存知の方も多いかと思いますが、この5月に電気代は大きく上昇しました。

主な原因としては再生可能エネルギーを普及させるために料金に上乗せする「賦課金」が、5月から増額されることと、いつもの燃料費調整制度ですね。

なお、関西電力の5月の値上げ金額は「190円」。4月については「54円」の値上げ。

うーん、値下げはうれしいんですけど、あまり値下げされたという実感はわかないかもしれませんね。

 

ただし、関西電力の価格設定次第では今後新電力事業者が新たな価格設定をする事は容易に想像できます。

まだまだ関西の電力事情は落ち着かないのかもしれませんね。

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大手電力会社の決算出そろう!! 電力自由化の影響は!?

大手電力会社の決算出そろう!! 電力自由化の影響は!?

電力自由化から1年。大手電力会社にとってはきっと我慢の1年であったろう2016年。大手電力会社各社の2017年3月期連結決算が出そろいました。

大手電力10社の2017年3月期連結決算が28日、出そろった。経常損益は全社黒字を確保したが、九州、沖縄を除く8社が2桁減益となった。原油など燃料価格下落に連動した電気料金引き下げによる減収が主因。昨年4月に始まった電力小売り全面自由化に伴う顧客離れも影響した。

※出典:時事ドットコムニュース 大手電力、8社が大幅減益=自由化で顧客離れも-17年3月期

経常利益は軒並み減少

大手電力会社10社の経常利益については、10社合計で前期比32.6%減の8017億円。バカにならないどころか、大幅減といって間違いないでしょう。

ここで関西電力HPに掲載している、2016年決算資料を見て見ると、

【収入面】
販売電力量の減少や燃料費調整単価の低下などにより、売上高は減少。

【支出面】
徹底した経営効率化に努めたことに加え、燃料価格の下落や円高などにより、火力燃料費が減少。

原子力プラントが再稼動できず、販売電力量も減少するなど厳しい経営環境。
引き続き、徹底した経営効率化に最大限の努力を積み重ねるとともに、安全性が確認された原子力プラントの1日も早い再稼動を目指す。

 

とのこと。

 

燃料の調達については仕方ないとはいえ、原発の稼働が出来ていない事が大きな原因と言ったところでしょうか?

ただし、問題の高浜原発については再稼働が予定されており、稼働後には電気代は安くなるとの事です。

 

また、電力自由化も減収の要因の一つ。

一般家庭向け小売り契約の他社への切り替えの申込件数は今年3月末時点で全体の約5.5%。この値は東京や大阪といった都市部の方が切り替えに積極的であり、今後も切り替えの流れが進むようであればさらなる減収につながる事でしょう。

 

この記事を読んでいる皆さんも、ほとんどの方は大手10社と契約されているかと思います。

6月も電気代は値上げになりますが、明るい報告はまだまだ出来そうにありませんね…

ガス自由化は電力自由化より普及するのか?

ガス自由化

ガス自由化は電力自由化より普及するのか?

昨年の今頃は、「電力自由化」について非常に盛り上がっていた感がありましたね。

もちろんこれは、多様な企業が電力自由化に参戦し、TVCMや電気店などでのキャンペーン等、様々な場所で「電力自由化」というキーワードを目にし、耳にする機会が多かったからという事が原因ですが。

気がつけば電力自由化からはや1年。今度はガスの自由化が目前に迫ってきました。

 

ここで疑問に思ったことが一つ。

 

ガス自由化のTVCMって、見たことがありますか?

 

関東圏の方だと、見たことあるかともそこそこいるとは思いますが、他の地域の方はどうでしょうか?

実際、電力の自由化の時と比べてイマイチ盛り上がりに欠けるという話は何度かさせていただきました。

こちらとしても「電気ありき」のブログなので、積極的にガス自由化の情報を集めていたわけではないんですけどね。

ただ、少し面白いというか、気になる情報を仕入れたのでご紹介したいとおもいます。

 

東京電力グループ ガス自由化の参入時期

東京電力グループである、東京電力エナジーパートナーのHPには、ガスの自由化特設サイトがあります。

※東京エナジーパートナー ガス自由化サイト

 

さて、このサイトを見ると「料金体系」「お申込み方法」といった、重要な項目がありません。

どんなことが掲載されているかというと、ガスの自由化についての簡単な説明とQ&Aと称したどこの情報サイトでも載っていそうな基本的な情報のみです。

 

東京電力の参入は7月から

こちらのホームページには記載されていませんが、実は東京電力(東京電力エナジーパートナー)がガスの自由化事業を本格的に始動させるのは2017年の7月との事だそうです。

関東にお住まいの方ならご存知の方も多いかと思いますが、東京電力エナジーパートナーは日本瓦斯株式会社とガスの自由化事業で提携しています。

そして、日本瓦斯株式会社は4月よりサービスを開始します。

この辺りがあわててサービスを開始しなくてもよい理由の一つかもしれませんね。

 

ガスの自由化は流行らない!?

電力自由化は、関東・関西といった都市部を中心に、少しづつではありますが普及しつつあります。

ただ、ガスにいたっては電気以上に普及が進まないような感じがします。

先月の日本経済新聞の記事に、以下のような記事がありました。

4月のガス小売り全面自由化を控え、新規参入に向けて登録した事業者が1月末時点で10社にとどまっている。
昨年4月に自由化した電力小売りが同時期に100件超だったのに比べ大幅に少ない。
経済産業省は消費者利益のためには競争が欠かせないとして、今後も参入を呼びかけていく。

 

中略

 

ガス小売りの参入で登録したのは関西電力や九州電力など。家庭向け供給は4社にとどまる。ガスは電力より調達や取り扱いが難しいことなどが背景にある。

※出典:日本経済新聞社

 

大手ガス会社にとっては、ある意味ありがたい話なのかもしれませんね。

ちなみにGoogoleで「ガス 自由化 CM」と検索すると、電力自由化のCMを紹介しているページばかり出てきます(笑)

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電力会社の反撃!?ガス自由化と電気代の削減 番外編

電力会社の反撃!?ガス自由化と電気代の削減 番外編

さて、ガス自由化が目前に迫る中、毎月上がる電気代を少しでも抑えるための情報をお伝えしているこのシリーズもはや3回目。

今回は番外編と称して、電力自由化から約1年の今、電力自由化事業の実情をお伝えしたいと思います。

 

やはり進んでいない!?新電力への乗り換え

前回の記事では、「残念ながらガスの自由化は新電力(電力自由化)と比較しあまり盛り上がっていない」というお話をさせていただきました。

では、実際に電力自由化でどれくらいの顧客が大手電力会社から新規参入業者へ乗り換えたのでしょうか?

大方の方が予想している通りかと思いますが、結論から言うと電力自由化は事業者が思うような感じでは普及が進んでいないようです。

先日電気料金の契約プランについての説明でもお話しましたが、日本経済新聞社の記事によると…

 

経済産業省の認可法人の電力広域的運営推進機関は11日、家庭向け電力小売りが自由化された4月以降の7カ月間で大手から209万100件の契約が新電力などに移ったと発表した。
契約総数に占める割合は3.3%。新電力の料金体系が大手と似ているなどメリットを感じにくいことが背景とみられる。

※出典:日本経済新聞社HP 電力切り替え209万件 自由化7カ月、地方は低調

といった感じで、あまり普及が進んでいないようです。

 

なぜ、電力自由化が進まないのか?

開始から1年もたつと、色々な問題が表面化してきているようです。

近い将来、少しづつ改善される事を1消費者として期待はしているんですけどね。

 

地方だと、そもそも選択できる企業が少ない

上記日本経済新聞の記事にある、「209万100件」の世帯が移行という数字ですが、この大半は都心部の世帯になります。

単純に、地方だと乗り換えできる企業が少ないという点が大きく響いているようです。

また、世帯の高齢化が進む地方では、わざわざややこしい新電力について、積極的に移行しようとする方も少ないようです。

 

システムが分かりにくい

電気料金が少しでも安くなるのは、家計を預かる主婦に方がにとってはありがたいこと。

しかし、今回の電力自由化はややこし点が多々あります。

私が調べた範囲になりますが、よく聞いた話というと…

 

プランが似たり寄ったりで、選びにくい

首都圏や関西近郊など、大都市圏では参入している新電力事業者も多く、比較サイトを見ると様々なプランから選ぶことが出来ます。

しかし、コレがかえってあだになっているようで、

料金体系は似たような感じで、結局何が違うのかよく解らない…

といった意見があるようです。

また、「100円利用で1ポイントで還元」なんて言葉、よくお聞きになられませんか?

ポイントに関しても特定の店舗でしか使えないポイントであったり、そもそもポイントを利用するのを忘れて失効させたりと、お得なことはお得なんでしょうが利用するのがめんどくさかったりしてよくわからないという意見があるようです。

 

電気をあまり使わない世帯だと、安くなりにくい

実は私も電力自由化が解禁された時、電気代が安くなるのでは!?と言う期待がありました。

わが家ではインターネット接続会社と携帯電話会社が提携しており、正規料金より携帯代が割り引かれています。

同じ業者が新電力事業に参入。これはぜひとも契約しなければ!!

こんな感じで、料金シュミレーションを行った結果…

 

えっと、関西電力のままの方が電気料金が安い!?

 

私が調べた業者だと、当時の価格で月額10,000円ほど電気を使わないと電気代が割高になるという試算が。

当時共働きだったわが家はそもそもあまり電気を使わない方なので、今回の乗り換えは見送りとなりました。

 

今後の新電力事業の展望は?

大手10社の電力会社(東京電力、関西電力、中部電力、東北電力、九州電力、中国電力、四国電力、北海道電力、北陸電力、沖縄電力)も今期の決算がまだなため、電力自由化による減収がどれくらいなのか、具体的な数値はまだ出ていません。

しかし一定の減収になるであろうとい予測は出ており、そこまで普及していないとはいえ大手電力会社にとっては痛手には違いないようです。

今後、事業を撤退する新電力会社も出てくるでしょうし、すでに営業している企業もこれらの問題点を踏まえ営業展開を行うことは容易に予想できます。

今後も少しづつではありますが、新電力事業については普及していくのではないでしょうか?

個人的なキーワードとしては、消費者へわかりやすい利用金プランとシステムを導入し、告知することですかね?

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電力会社の反撃!?ガス自由化と電気代の削減 その2

ガス自由化

電力会社の反撃!?ガス自由化と電気代の削減 その2

お待たせしました。2017年4月に実施されるガスの自由化と電気代の削減についてお話しするシリーズの第二弾!!
今回は、関西のエネルギー企業と言えばここ!!関西電力と大阪ガスについてのお話です。

前回も少しお話をさせていただきましたが、今回自由化の対象となるのは都市ガスを利用されている方に限られます。

大手4社と言われる「東京ガス、東邦ガス、大阪ガス、西部ガス」の4社とご契約(もしくは、これらのガス会社と提携している企業)が自由化の対象となります。

現状ガス事業に新規参入すると名乗りを上げているのはわずか5社。そのほとんどが大手電力会社というのが実情です。

 

電力会社の反撃!?ガスの参入

2016年の4月、電力自由化に伴い多種多様な業種が新規電力会社として名乗りを上げました。

ガスや石油等エネルギーを扱う企業、通信会社、商社系等様々な企業が参入し、今ではかなり落ち着いたとはいえ一時はTVCMなどがバンバン流れていた時期もありました。

大手電力会社にとってみればいままでほぼ独占状態だった市場を荒らされるのですからたまったもんじゃありませんよね。こんな状況で、関西で電力自由化に参入を表明した企業に「大阪ガス」がありました。

 

大阪ガスの電気料金プラン

ここで大阪ガスが提供する基本的な電力プランである、「ベースプランA」を見てみましょう。

2年契約というまるで携帯電話のような縛りはありますが、ガスと一緒に契約することで関西電力の同等プランと比較し5%ほど電気料金がお得になるようです。

※参考:大阪ガスHP ベースプランA

 

単純にこの数値だけみると、「大手のガス会社で企業的にも安心だし、光熱費が安くなるならいいんじゃないの?」

なんて思われた方もいらっしゃるかと思います。

 

一方、その時関西電力は?

関西電力が100%出資する通信事業会社、ケイオプティコムが電力の小売りに参入を表明しましたが、関西電力自体は料金プランの見直しを提示したり、オール電化の導入をお勧めしたりと新電力に関してはあまり有効な対策ができていないような印象でした。

※現在「関西電力 電力自由化」で検索すると、「電力自由化がスタートし、契約手続き等でトラブルになるケースが増えています」なんて記事が表示されます。

 

ガス自由化に伴い、関西電力の電気代はどうなるの?

すでに関西電力・大阪ガスの2社で激しい顧客争奪戦が行われているようです。

ソースはすでに消えているのですが、先日のNHKの関西ニュースでは、

「関西電力が12月に発表したばかりの都市ガス小売りの料金メニューを見直し、さらに安くすることを発表した」

との報道がありました。

これは1週間前に大阪ガスが発表した料金に対抗したものですが、こういった競争は今後もしばらく続きそうな気配。

ガス(もしくは電気)とのセット契約割、早割、2年縛り等契約の内容や電気・ガスの使用量により関西電力・大阪ガスのどちらに契約した方がお安くなるかはケースバイケースなのですが、制度の実施まであと2カ月。申し越し様子を見るのも良いかもしれませんね。

保存

電力会社の反撃!?ガス自由化と電気代の削減 その1

電力会社の反撃!?ガス自由化と電気代の削減
2016年の4月より、いままで地域ごとに定められた電力会社としか契約ができなかったのが、新規に参入する電力会社とも契約のできる「電力自由化」が始まりました。

等ブログでも新電力については度々取り上げてきましたし、テレビでも多種多様な業者がCMをしているのでご存知の方も多いはず。

電力自由化が始まってから約10カ月。多くの世帯に浸透してるとは言い難いのが現状ではありますが、今まで電力の供給という点で地域ごとに独占してきた大手10社にしてみれば売り上げの減少は免れない状況だったと思います。

そんななか、今年の4月より今度は「都市ガスの自由化」が始まるのを皆さんはご存知ですか?

 

都市ガスの自由化とは?

昨年4月にはじまった電力自由化と同じく、今度は都市ガスの会社を自由に選ぶ事ができますよ~というのが今回の制度改革です。

電力自由化の時はご自宅の前にある電線を使い、新電力会社から電力を供給してもらうことができました。都市ガスの自由化では、地中に埋まっているガス管を使い、新規参入するガス会社にガスを供給してもらう形になります。

しかし、電力自由化の時と比べてイマイチ盛り上がりに欠けている気がしませんか?

 

ガス自由化がイマイチ盛り上がらない理由

僕の記憶が正しければ、1年前のこの時期は多様な業種が新電力に参入を宣言し、メディアも制度を取り上げて報道したり、TVCMが流れたりと「新電力・電力自由化」という制度が巷に溢れていました。

しかし、ガスの自由化が目前にせまった現在、ラジオで1回、テレビで1回CMか何かを聞いたくらいで僕自身全然「ガス自由化」という言葉を耳にしません。

これはいったいどういう事なのでしょうか?

 

理由その1:都市ガスとプロパンガスのシェアの問題

普段都市ガスを使われてる方はご存じないかもしれませんが、地方ではLP(プロパン)ガスの普及率が高い所がまだまだありますし、現状都市ガスとプロパンのシェアは拮抗しています。

なんならずっと都市ガスを使われてる方は、「プロパンって何!?」みたいな人もいるかもしれませんね。

電力自由化と比べそもそも顧客となりうる絶対数が少ないガスの自由化は、新規参入してもうまみの少ない事業という認識があるようです。

 

理由その2:ガスと電気のシェア争いの問題

不動産情報サイトで物件を検索するとき、オプションの項目あるのが「オール電化」という文字。

新築マンションだけでなく、賃貸物件にもオール電化対応の物件は多々あります。

何が言いたいのかというと、現状ガス業界自体のシェアが縮小傾向にあるようです。

個人的に電気コンロは火力不足だと思いますし、自分で料理をするならガスのほうが良いんですがね…

もちろんガスにはガスの良いところはありますし、デメリットもあります。それは電気にしてもしかり。

しかし、時代の流れとしてガスより電気のほうがエネルギーとしてのシェア争いについて優位に立っている…という事は事実としてあるようです。

 

理由その3:電気とガスの性質の違い

電気は備蓄が困難なため必要な際に生産する必要があります。よって太陽光発電や風力発電等何らかの発電施設を利用し電気を発電、お客様に提供するという流れになります。

一方ガスは備蓄が可能であり、すでに設備を持っている大手ガス会社に優位性があるのは言うまでもありません。

ガス田を持たない日本は海外よりガスを調達する必要があります。
さらに配管は既存のものを利用できるとはいえ、ガス管の使用料を払わなくてはなりません。

自社で生産できる電気なら、コスト削減への取り組みや、自然エネルギーの利用で環境への配慮をアピールした経営戦略を行うなど多様な営業努力で利益もあげることが可能でしょう。

しかし電力自由化に比べ見込み客の少なさ、経営面での自由度の低さ等新規参入する企業側にとってあまり魅力的な商材でないというのが大きな要因の一つのようです。

 

 

さて、ここまでの話を聞くとガスの自由化はあまり魅力的ではないような気がしますよね。
ただし現状の電力会社のとの契約によっては電気代・ガス代共にお安くなることがあります。

次回は関西電力・大阪ガスの例をご紹介したいと思います。

保存

保存

【電気代値上げ】原発費用の増加に伴い電気代が値上げに!?

電気代UPに悩む女性

【電気代値上げ】原発費用の増加に伴い電気代が値上げに!?

冬到来で各地で雪の知らせが続々と届く中、気温だけじゃなく財布も寒くなるようなニュースが飛び込んできました。

そう、「また」電気代の値上げのお話です。ゴメンナサイ・・・

 

原発の費用増のせいで電気代が値上げに

車での移動中は結構AMラジオを流してるんですが、先日HNKのラジオを流していると毎時間こちらのニュースが報道されていました。

東京電力福島第一原子力発電所の廃炉費用などの負担の在り方などを検討する国の有識者会議が開かれ、経済産業省は、賠償や除染も含めた原発事故に関連する費用の総額が従来の倍の21兆円余りに膨らむという見通しを示しました。費用の一部は、電気料金の支払いを通じて国民が負担する形となります。

※出典:
原発事故費用 従来の2倍の21兆円余に膨らむ見通し

今までお国が動いた事業で、「予定より費用がかかりました~(笑)」みたいな話は山ほどあるので驚かないと言えば驚かないのですが。しかし、10兆違うとはね…(というか、予定より安くなったことを聞いたことがないですが…)

 

原発対策費用増加の金額

ちなみに、どんな作業にどれだけの金額が増加になったかというと

当初の金額 増額後の金額
廃炉に関する費用 2兆円 8兆円
賠償に関する費用 5.4兆円 7.9兆円
除染に関する費用 2.5兆円 4兆円
中間貯蔵に関する費用 1.1兆円 1.6兆円

桁数が大きすぎて我々庶民にはイマイチ実感がわきませんが。金額だけみると中間貯蔵に関する費用の増加が0.5兆円増と低くなっていますが、ちょっと冷静になって考えてみましょう。

0.5兆って5000億円ですよ?率に換算すると約50%のコスト増ですよ?
普通の会社なら、あり得ないことです。

 

実際にどのような形で電気代が増えるのか?

電気代の支払いを通じて私たち国民に費用の負担を求められるわけですが、実際にどのような形で電気代が増額されるのでしょうか?

実はこれ、東京電力管内だけの話ではなさそうなんです…

 

東京電力は、電気料金の値下げが無くなるかも!?

本来電力会社が利益を上げた場合、電気料金の値下げにつながります。

今回まずはこの点を見直し、本来値下げに使われる金額を原発処理費用に利用できるようにするとのこと。
つまり、東京電力を利用している方は原発処理が終わるまでは電気代が値下げされない可能性が!?

もちろん値上げはするでしょうから、他のエリアに比べて割高感がさらに高くなるかもしれませんね…

ちなみにこの制度で得た利益は、「廃炉」に関する費用に使われるようです。

 

原発を保有する他の電力会社も負担増に!?

さらに、賠償費用については東京電力のみならず、他の原発を保有する電力会社にも負担が求められます。

東京電力以外の電力会社で原発を保有している会社は2社。そう、関西電力と九州電力です。

ちなみに負担額は東京電力は1200億円ほど、関西電力は315億円、九州電力は169億円と差はありますが、関西電力・九州電力圏内の方にしてみたら納得のいかない所もあるかと思います。
だって、この負担は間違いなく「圏内の電力利用者」の負担になっているので…

 

なんと新電力の電気代にも影響が!?

今年の4月より開始された新電力事業(電力小売りの自由化)当サイトでもたびたび記事にしてきましたが値上げの波はこの新電力にも及びます。

現在、新電力に契約している方は賠償費用の一部を負担していない状態だったのが、今後は電気料金の不公平さをなくすため、新電力の事業者にも負担を求める方針に変更するとのこと。

 

ちなみに現状の試算で賠償総額が7兆9000億円。このうち新電力による負担額は2400億円程度になる模様です。

仮に新電力が40年かけて支払う場合、新電力を利用する世帯の電気代に月平均で18円ほど値上げされる計算に。

40年×12ヶ月×18円=8640円 が現状私達が支払う賠償額の補填金です。

 

はたしてこれで電気代の値上げは止まるのか?

これらの情報は国が発表したとはいえあくまで「試算」に過ぎず、今後賠償等の費用が高くなり、また電気の利用者の負担増になることは十分に考えられます。

例えば新電力が負担する賠償額について。

40年で計算した場合一月18円との事ですが

●賠償額の増加の可能性
●世帯の減少(少子高齢化)
●新電力業者自体の減少(倒産・事業撤退等)

少し考えただけでも色々な問題点があるかと思います。

今後も電気代の増加が想像される中、私達ユーザーは正しい知識を持ち、節電や使用電力量の削減に取り組む…と言うのが一番間違いない電気代の削減方法なのではないでしょうか?

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